当研究会の名誉会員(レジェンド)の先生方から会員向け推薦文をいただきました。一読の上ぜひお申込みください。
一般社団法人日本死の臨床研究会 名誉会員 柏木哲夫
多くの臨床の中で”死の臨床”ほどチームケアが必要とされる分野はない。やり直しが効かない状況で日々を過ごされる患者さんにもっとも必要なケアを提供するのはチームの責任である。必要なケアの前面に立つのがソーシャルワーカーかもしれないし、チャプレンかもしれない。
医師、看護師、時には薬剤師や理学療法士、その他の専門家の総合的協力無しには良い死の臨床は成立しないと思う。非常に学び多いこの配信プログラムを視聴される事をお勧めしたい。
日本死の臨床研究会の会員の皆様
名誉会員 末永和之
会員の皆様方におかれまして、日々自分にいただかれた使命に邁進しておられることと拝察いたします。
第44回日本死の臨床研究会松山大会が大会長中橋 恒、井上実穂様にて昨年四国松山にて開催されました。その報告は「死の臨床」78号にて皆様のお手元に届いていると思います。その中であり方特別委員会企画「死の臨床で大切にしてきたもの」のパネルディスカッションを行いました。この企画は引き続いて第2回パネルディスカッション「他職種のチームで担う死の臨床」が開催されました。これらの取り組みは日本死の臨床研究会本部事務局から「第44回年次大会オンデマンドプログラム再配信」「あり方特別委員会第2回パネルディスカッション」として配信されています。
松山大会に参加された会員の皆様、あるいは参加できなかった会員の皆様、今一度この配信プログラムを視聴されることをお勧めします。そして真の援助者として、あるいはご自身の振り返りとして、そして皆様方の日常の現場での取り組みにお役に立つと考えます。よろしくお願いいたします。
皆様方におかれましてはこれからも一般社団法人日本死の臨床研究会で学び、日々の実践に役立たせていただければ幸甚です。
合掌
「配信プログラムの視聴」への推薦文
一般社団法人日本死の臨床研究会 名誉会員 渡辺 正
お遍路の里として古くから旅人をもてなす文化のある四国は、大会長の言われるように“ホスピスアイランド”にふさわしく、そしてその地で3年延期された大会が、“看取りを文化に”をサブテーマに開催されました。当大会のオンデマンド配信では、学びの多い素晴らしい講演、企画を視聴することができます。印象の一部しかお伝えできませんが、講演者の深い意図を知っていただくために是非ご視聴ください。
大会長講演において中橋大会長は、死の看取りの歴史の中で当研究会の果たしてきた先進的な役割、およびお遍路や子規の生誕地であることを踏まえ、看取り文化を再創造する大会にしたいと述べられています。また井上大会長は、自身の生を認め受け入れることが穏やかな死につながるとの思いを対話に際し留意していること、また丁寧にすくい上げられた患者、ご家族の言葉を紹介され深い感銘を受けました。
主題メッセージにおいて山折哲雄氏は、死を点で捉えるのではなく、老病死のプロセスとして捉え、日本の看取りの文化を再考する必要性を述べられました。また俳句のもつ力も述べられましたが、俳句の魅力については夏井いつき氏が存分に語られています。主題に関連してカール・ベッカー氏は、日本の看取りの伝統のすばらしさを、また藤田一照氏は、私たちは死と私という二つの謎をはらんで生きていることなどを話されました。
生と死のつながりの視点で、柳田邦男氏はご家族の死の経験から、その人の生の証が人生を共有した人の中で“死後生”として生きていること、また関本雅子氏は、困難な時期にあっても成長し続ける息子さんの姿と、よき死は家族の成長にもつながることを示されました。
特別講演の中で柏木哲夫氏は、「ホスピスのこころ」にふさわしいケアのあり方を示され、さらに寄り添う、支える、励ますについて、人との関わりの方向から説明してくださいました。またユーモアのもつ役割にも言及されました。
教育講演では、尾角光美氏が自殺に対する偏見のため、“公認されないグリーフ”に直面すること、また小澤竹俊氏は援助的コミュニケーションについてロールプレイを交えて分かりやすく説明されました。
さて東日本大震災関連では、渡邉眞紀氏より当時の状況や復興における問題点などが語られ、また国際交流広場では、チェロ奏者のクレール・オペール氏が、患者さんの思いのこもった言葉を背景にチェロを演奏され深い感銘を受けました。
総会報告会で三枝好幸代表理事は、当研究会が参加者にとって心のふるさとになるようにとの思いで、オカリナで“ふるさと”を演奏されましたが、おもてなしと温もりに満ちた当大会は、まさにそれにふさわしいものと思いました。
第44回日本死の臨床研究会年次大会のオンデマンドです。松山での大会は、2020年に開催予定でしたが、COVID-19で延期となった待望の大会でした。どの講演もお薦めですが、いくつかご紹介いたします。オンデマンドですので、お時間がある時に、ゆったりとソファに座って、お酒を呑みながら💦、視聴できます。是非、ご購入ください。
日本死の臨床研究会 名誉会員 髙宮有介(昭和大学医学部 医学教育学講座 客員教授、TMG(戸田中央メディカルケアグループ)緩和医療特別顧問)
特別講演1
「辞世の句ってかっこいい」
演者:夏井いつき(株式会社 夏井&カンパニー)
座長:志真泰夫(日本ホスピス緩和ケア協会/筑波メディカルセンター)
正岡子規の出身地の松山は俳句の発信基地です。夏井氏は、11年間のテレビのプレバトの紹介と共に、俳句を広める活動について講演されました。俳句は自分を客観的に見るトレーニングだと述べ、聴衆も俳号を決め、俳句に挑戦することを勧められました。日々の臨床から離れ、違った頭を使う機会になります。是非、ご視聴ください。きっと夏井氏のファンになるでしょう。
特別講演4
「末期がんの息子を看取って、変わった思いと変わらない思い」
演者:関本雅子(かえでホームケアクリニック)
座長:久保山千鶴(関本クリニック)
45歳で亡くなった緩和ケア医の関本剛氏の母親の関本雅子氏の講演です。緩和ケアの医療者として、最後の時をどのように過ごすのか。私達自身も問われていると思います。剛氏が生き方の参考にした言葉「人間は他の動物と違って、どんなに肉体が衰えても、死ぬ瞬間まで成長し続けることができる」そして、母親としての想いも胸に迫ります。最後に流して頂いた本人が遺したビデオメッセージは心に響きました。是非、ご視聴ください。
特別企画2
『ホスピスのこころ』日本のホスピス50周年記念特別講演
演者:柏木哲夫(日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団、淀川キリスト教病院名誉ホスピス長、大阪大学名誉教授)
座長:前野宏(札幌南徳洲会病院)共催/NPO 法人ホスピスのこころ研究所、日本ホスピス緩和ケア協会、ホスピス財団
いつものようにユーモアを交えた柏木節がさく裂です。寄り添うこと、寄り添うために必要な人間力、聴くことについて、事例を紹介しながらの講演です。ホスピスの原点に戻ることができる講演です。
国際交流広場1
“The Schubert Treatment”: the impact of live music on patients during pain-inducing treatments in palliative care
「シューベルト療法」:緩和ケアにおける患者の痛みやつらさに対するライブ演奏の影響
演者:Claire Oppert クレール・オペール(サン・ペリーヌ病院緩和ケア病棟(パリ)、リーヴ・ド・セーヌ緩和ケア病棟(プトー)、ジーン・ガーニエ緩和ケア病棟(パリ、フランス))
座長:笹良剛史(豊見城中央病院 緩和ケア内科)
栗原幸江(上智大学グリーフケア研究所/認定NPO法人マギーズ東京/都立駒込病院緩和ケア科)
Oppert氏は国立モスクワ音楽院を卒業され、数々の音楽コンクールでの受賞歴を持つチェリストです。音楽療法士としての患者との関わりと共に、その有用性の研究成果も紹介しています。何より情感豊かなチェロのライブ演奏は皆さんを癒してくれるでしょう。日々の臨床で疲れたあなたにお勧めです。