死の臨床に活かすコミュニケーション
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1医療と福祉の場におけるコミュニケーションの重要性〈第1部〉コミュニケーションの考え方・とらえ方8 〈第1部〉コミュニケーションの考え方・とらえ方はじめに何が問題か コミュニケーションとは何か?「コトバンク」の中から,いくつか引用してみよう。1.社会生活を営む人間が互いに意思や感情,思考を伝達し合うこと。言語・文字・身振りなどを媒介にして行われる。(デジタル大辞泉)2.言語,身振り,画像などの物質的記号を媒介手段とした精神的交流のこと。(ブリタニカ国際大百科事典小項目事典)3.人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと。言語・文字その他視覚・聴覚に訴える身振り・表情・声などの手段によって行う。(大辞林 第三版) 以上から「コミュニケーションとは,社会生活を営む人間が,言語・文字・身振り・表情・声などを介して,お互いに意思や感情,思考を伝達し合う精神的交流のこと」とまとめられる。 つまり,社会生活を営む人間にとって,コミュニケーションはお互いを理解し合うためになくてはならないものなのである。 だが,さまざまな病気や障害をもち,医療や福祉のサービスを必要とする人々は,その病気や障害ゆえに,前記のような目的をもったコミュニケーションが困難な場面も多い。本稿では,医療や福祉の現場におけるコミュニケーションについて,どのような視点や配慮が必要かについて考えてみたい。 日本死の臨床研究会・教育研修委員会が編集した,本書の前身である『死の臨床とコミュニケーション』(人間と歴史社,2003)で,益子は,「医療現場では,患者の訴えと真意がずれていることがよくあり,たとえば頻回のナースコールがあると『また来た』『いやだな』などのような気持ちになり,患者に対して“説得的”な対応になってしまう。ここで,患者の真意を理解しなければ,患者はニードが満たされずにますます訴えが増え,看護師も患者もストレスフルな状態になってしまう(筆者要約)」1)と言っている。 また村田は「深夜の病室で大声を出している患者に対して,夜勤の看護師が,その大声を“困ったこと”“問題行動”と捉えて,それを何とか抑えようとすれば,その看護師は患者にとっては管理・抑圧をするものとして現れる(筆者要約)」2)と言っている。山崎章郎ケアタウン小平クリニック,聖ヨハネホスピスケア研究所,医師

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