委員長 中村陽一
現在、編集委員会では「死の臨床 77号」の編集作業を行なっております。2022年11月に三重県津市で開催された第46回日本死の臨床研究会年次大会の記録号と投稿論文(原著、調査報告など)の掲載を予定しております。6月にはお手元に届くよう鋭意努力しております。
さて、年次大会において多くの参加者を集め、熱い議論がなされている「事例報告」の倫理的配慮に関して、研究倫理の立場で考えてみたいと思います。一般に他の学会や研究会では、症例報告については倫理的に十分な配慮を行っていることが求められており、原則倫理委員会の承認までは必要ないことが多いと思います。
事例検討にあたっては記録号に掲載することも念頭におき、ぜひ、患者さんやご家族から「〇〇さんとの関わりを、個人情報を除いて医療者などの参加する研究会で発表しても良いでしょうか?」と許可を求めていただき、カルテに記録するようにしていただければと思います(各施設のルールで文書を残す施設もあると思います)。
同意を取得できない際に、倫理委員会の承認を得ることが発表者である研究者と研究会を守るために必要なことと考えます。自施設に倫理委員会を有さない施設の研究を引き受ける倫理委員会も増えております。ぜひ、ご協力をお願い致します。
委員長 栗原幸江
国際交流委員会では、「さまざまな文化背景や価値観に触れ、自分のとらえ方や考え方・感じ方を改めてふり返ってみる」ことを意図して、毎年の年次大会において、グリーフケアやセルフケア/スタッフケアといったテーマを軸に講演会やワークショップ等を企画開催しています。2023年度から、郷堀ヨゼフ先生(淑徳大学)、笹良剛史先生(豊見城中央病院)、土屋静馬先生(昭和大学)の三名の新メンバーを迎えました。メンバーの経験知を合わせて、さらに充実の企画をお届けできたらと考えています。
第44回大会には、フランスからチェロ奏者のクレア・オペール(Claire Oppert)氏をお迎えします。海外から演者の方をお招きするのは、2018年以来5年ぶりとなります。クレアさんはパリの病院でチェロによる音楽療法を提供してこられ、その経験をまとめた著書『Le Bandage Schubert(シューベルト治療)』(2020年)は、今年日本語版が出版予定だそうです。チェリストとして、そして緩和ケア領域での音楽療法士としての経験をお話しいただく講演とご参加の皆様にその場で実際に音楽療法の体験をしていただけることを意図した『国際交流広場』の二つの企画を予定しています。どうぞお楽しみに。
委員長 長澤昌子
2022年度第4回教育研修ワークショップを、2月11日(土)13時~17時に開催しましたのでご報告します。今回は、過去に参加した経験がある方を対象にアドバンスコースとして開催し、8名の参加者と7名の教育研修委員が学びあいました。
アドバンスコースの特徴は、レクチャーはなしでロール・プレーとディスカッションを中心に行うことと、患者役を教育研修委員が行うことです。委員は、それぞれにスピリチュアルペインを持つ患者のキーワードやキーメッセージを設定して臨みました。そうすることで、参加者はロール・プレーを2回以上経験でき、1回目の経験を活かしてやり直しができるようにしました。
参加者のアンケート結果は、全体的には5段階評価で5≪極めて価値あり≫との回答が87.5%でした。死の臨床におけるコミュニケーションについて理解が深まったかとの問いに対しては、≪充分に深まった≫50%、≪深まった≫50%でした。
ワークショップで良かった点について、「ファシリテーターが患者役をしたことで、聴き手に徹することができた」「レベルの高いロール・プレーの観察者ができたこと」「フィードバックが学びになった」などでした。改善した方がよい点について、「ロール・プレーの回数を増やしてもよい」「参加者からもっと活発に質問や意見が出ればよい」「対面がよい」などの意見がありました。また、「オンラインでも相手の反応がよく伝わった。また参加したい」「対面もオンラインも継続してほしい」などのご意見もいただきました。
参加者のご意見から、次年度は通常のワークショップに加え、アドバンスコースも企画していこうと話し合っています。対面での開催予定は、まだ具体的にできませんが、次年度の予定が決定しましたらホームページに公開しますのでよろしくお願いいたします。
委員長 横山幸生
企画委員会では 第44回日本死の臨床研究会年次大会(松山大会)で、企画委員会シンポジウム「真の援助者を目指して」を開催いたします。本シンポジウムでは、シンポジストとして登壇いただける会員のみなさまを募集しております。
死にゆく人と向きあう実践のなかで大切にしていることや学んだこと、ご自身が考える「真の援助」とは何かなど、率直な思いをお話いただけないでしょうか。シンポジウムではその思いをお聴きし、ディスカッションを通して、参加者がご自身の実践をふりかえったり、参加者相互で学びあい、「死の臨床」にむきあう力を少しでも深めていけるような機会になればと願っております。
募集方法の詳細は、ホームページやメーリングリストでご案内しています。みなさまの声をぜひお聴かせください。積極的なご応募をお待ちいたしております。
委員長 三枝好幸
お陰様で皆様のご理解とご協力のもと、2023年1月18日一般社団法人日本死の臨床研究会が設立されました。このニューズレターがお手元に届く頃、4月1日現任意団体から一般社団法人に移行いたします。それに伴い、現ありかた特別委員会(第二次ありかた特別委員会)のミッションは終了し、4月1日より第三次ありかた特別委員会に移行します。第三次ありかた特別委員会では、第44回年次大会における委員会企画として、「死の臨床で大切にしたいもの」と題したパネルディスカッションの開催に向けた準備が始まっています。一般社団法人移行後のシステムの変更などにつきましては、本ニューズレターやホームページに載せておりますのでご確認ください。引き続きどうぞよろしくお願い申しあげます。